今日も今日とてまだまだCurveの話題を擦らせてもらいます。さっき8月3日のOTCの独り言を書いたところですが、明日は嫌でもすぐにやってきます。
仕事の合間で書いている独り言なので、いつもかなり雑な話口調でなんだか申し訳ない気持ちになります。そんな話は置いておいて、TLを見ていたらやはりCurveが周辺プロトコルに与えた影響は良くも悪くもまだまだあるみたいで。
その内の一つと言ってはなんですが、アブラカタブラでお馴染みの$MIMのプロポーザルをちょっと調べたいなと思いまして。調べた内容とどういう議論がされていたかは翻訳と解説をしているので、この記事を読むとある程度分かるようになる気がします。MIMの解説は時間がなかったので省略していますが、この騒動がひと段落したらどこかの機会で解説します。
AIP13.4
提案者: Romy(@LickMyRomy)
Governance Proposal
進捗: 承認
CRVが陥っている現在の流動性の問題を考慮すると、これから行う提案は連鎖的な清算を避けるために、DAOの資産価値を保持するために最適化された価格でオラクル価格を固定したほうが良いのではというものです。
Background
6月27日にコミュニティメンバーから、フォーラムへの投稿を通じてAbracadabraの2つのCRV cauldronsへのリスクを強調する指摘を行いました。
※cauldronsとは、各通貨のLendingプロトコル部分の通貨ごとのスマートコントラクトを指し、それぞれの通貨ごとのpoolのこと。公式のDocsはこちらから: Our Contracts - docs.abracadabra.money
0xthespaniard氏(@0xthespaniard)による投稿
Michael Egorov㌠がAbracadabraを通じて2,000万ドルを借りていることは周知の事実ですが、問題はそこではなくAAVE、FRAX、Inverseからも同様に資金を借りていてそれらの合計額が8,600万ドルにもなるということ。
最大の問題点として挙げられるのはオンチェーンにある流動性です。そもそも600万ドルほどの清算でさえCRVは堪えられないことが調べてわかりました。
そして我々にとっての最大の問題点は不良債権であり、過去のUSTの教訓から見ても対応が必要です。時にはリスクを取り除いていくことで、プロトコルをいかに長生きさせられるかを学びたいです。
そこから現在に至るまでの約1ヶ月間の間でさえ、Curveは自身のTVLに大きな影響を与えかねないいくつかの問題に直面しています。
Conic Financeのハッキング: 350万ドル
JPEG'dのハッキング: 1,100万ドル
Curveのハッキング: 6,170万ドル
これらのハッキングの一部ではCRV/ETHプールにも影響を与え、CRVの重要なオンチェーンの流動性の大半が流出してしまう結果になっています。Abracadabraで担保利用できるように決定した当時の流動性とは大きくかけ離れています。
そしてさらにはLTVが低く金利の高い市場へとCRVが流出しており、価格とトークン周りの流動性などに影響を与えてしまっています。
Proposal
この提案の目的はAbracadabra DAOにCRVの価格設定を行う既存のOracle価格によるスワップをすぐに行う権利を付与することです。このスワップ権がなぜ必要かというと、CRVの連鎖的な売却が起こったときに不必要なCRVの清算を防ぐことです。
スワップを迅速に実行することでDAOはトレジャリーのCRVを効果的に活用し、安全性を確保した上で連鎖的な売却リスクを最小限に押さえることができます。これはCRV、CRV 2の両方のcauldronsに大きな影響を与えます。
またこれに続くAIP13.5の提案は、起こりうる一連の騒動の後でも依然としてCRVの価値が一定を推移し、Abracadabraがこの価格の急落に伴った再建プロセスに参加できるという事実にベットするものです。
AIP13.5
提案者: Romy(@LickMyRomy)
Governance Proposal
進捗: 否決
Abracadabraはいま多額のCRVに由来するリスクにさらされています。これに対処するために担保ベースの金利を2つのCRV cauldronsに適応するケースを検討する必要があります。この戦略から得られる収益はAbracadabraのTreasuryに保管され、CRVの流動性問題を解決するための資金として利用されます。
Background
※AIP13.4内で説明した0xthespaniard氏の投稿をもとに話しています。
AIP13.4のBackgroundと同様の課題感をもって、Abracadabraのリスクを軽減する必要があると考えています。そのためにAbracadabraのCRV exposureの合計を約500万ドルに相当するMIMに軽減するため、金利を引き上げることを提案します。
Strategy Proposal
元本に対する不必要な利息の福利計算を避けるために、以前Abracadabra DAOがWBTCやWETHのcauldronsで行ったような担保ベースでの利息を適応することを提案したいです。この戦略は単純な金利の引き上げ策と比較して、ポジションに関連する負の外部性を減らすことが可能です。
参考: AIP #12の要約
WBTCとWETHのcauldronsは無利子で提供されていた。
MIMの利用促進になり使用量増加のための協力な材料になっていた。
しかしいまでは時代遅れの技術になりプロトコルのコストへと。
→ ここに割いていたコストを、Velodrome、Camelot、Rage Tradeとのパートナーシップを起点のOptimismとArbitrum展開のために使うべきだ。
V3 cauldron smart contractの主な改善点の一つは金利を調整可能にすることでしたが、WBTCとWETH cauldronsは古いcontractを使用している。なので、これらのcauldronsに借り手のディスインセンティブを設けることで、貸し手が金利の請求をできる構造を構築する。
→ 例として毎週2.5%の金利上昇を行い、最大で15%の金利を適応することで借り手のポジション決済を促す。
担保ベースでの利息の効果はすべての利息がcauldronsの担保に直接請求され、プロトコルのTreasuryにすぐ移動することでDAOの準備金を増加させられることです。一度Treasuryに入ると、担保はオンチェーン取引またはオフチェーンパートナーの取引のいずれかを介してMIMに変換することができます。
この提案には基準金利が設けられており、この基準金利は下記のCRV cauldronsの合計残高の元本に依存します。
0x207763511da879a900973A5E092382117C3c1588
0x7d8dF3E4D06B0e19960c19Ee673c0823BEB90815
これに対してさらにcauldronsの担保率によって金利に倍率がかかる仕組みになっています。これらの2つの要素に酔って元本全額回収の可能性を最大限に高められます。基準金利の推移は下記のとおりです。
元本が1,000~1,800万ドルのとき: 基準金利200%
元本が500~1,000万ドルのとき: 基準金利100%
元本が~500万ドルのとき: 基準金利30%
また担保比率による倍率は下記のとおりです。
担保比率が40%以下のとき: 金利にかかる倍数は1倍
担保比率が50%以下のとき: 金利にかかる倍数は5倍
担保比率が60%以下のとき: 金利にかかる倍数は10倍
担保比率が70%以下のとき: 金利にかかる倍数は25倍
現在の元本残高が1,800万ドルなので基準金利は200%に設定され、現状だとこのローンは6ヶ月以内に全額返済される見込み。元本が返済されば金利は更に下がります。
担保比率が40%であれば基準金利の変動はありませんが、担保比率が45%の場合は基準金利は200%の5倍に相当する1,000%になります。現在の元本残高だと余力はあと1.2ヶ月ほどという計算になります。
このAIPを解説すると、現状のまま価格の下落が進み清算ラインにタッチしていまのままのCRVの枚数が市場に出ると十分な流動性が無いので、清算した時の枚数を減らすべく高い金利を提示することと引き換えに早期変換を促すという内容ですね。そうなると仮に清算したときの流動性に充てる準備金的な量もDAOに増えるし、市場を破壊することもないからいいんじゃね的なやつだと思います。
まあこのAIPを提案しているRomyさんは、CRVの価格崩壊を防ぎ、Abracadabraに大きな影響を及ぼさないことを目標としているので内容は至極真っ当な気がしますね。
AIP13.6
提案者: masterofdesaster
Governance Proposal
進捗: 進行中(8月3日20時時点)
締切日: 8月6日7時
※AIP13.5内で説明した内容の改善案がベースのProposalです。説明内容に重複箇所があったので修正点を中心に翻訳解説を行っています。
Background
masterofdesaster氏はMichael Egorov㌠がAbracadabraでのローン返済が完了し、CRVの流動性が向上する可能性があることから、AIP13.5で提案されていた金利の引き上げ要件を変更する必要があると考えています。前回の提案を踏まえた上での新たな条件の提案をAIP13.6では行います。
Strategy Proposal
8月1日のAIP13.5の提案を受けてCRVを裏付け資産とするMIMローンのオンチェーン流動性に大きな変化が現れました。主にMichael Egorov㌠によるOTC取引による受取資産を利用した複数回の返済によって、総額が1,800万ドルから1,250万ドルにまで減少しました。
またConvexおよびCurveコミュニティはオンチェーンのCRVの流動性を高めるための取り組みに協力的な姿勢を示しました。
これらの新しい変数を反映させるためにコミュニティへこれから提案する新しいモデルでは、基本金利(市場でのCRVの売り圧を軽減するために提案されたAIP13.5の策)に引き続き焦点をあてるとともに、いくつかの条件に応じた以下のような金利の割引を提供するプランを考えています。
CRV cauldronsに預け入れられた元本
担保資産比率
オンチェーン流動性
新しい基本金利は以下のとおりです。
元本が1,000~1,200万ドルのとき: 基準金利150%
元本が500~1,000万ドルのとき: 基準金利80%
元本が~500万ドルのとき: 基準金利30%
また担保比率による金利の変化は下記のとおりです。
担保比率が40%以下のとき: 金利を-20%
担保比率が50%以下のとき: 金利変動なし
担保比率が60%以下のとき: 金利を+15%
担保比率が70%以下のとき: 金利を+25%
TriCRV(crvUSD/ETH/CRV)の流動性による金利の変化は以下のとおりです。
流動性が500万ドル〜1,000万ドルのとき: 金利を-5%
流動性が1,000万ドル〜2,000万ドルのとき: 金利を-10%
流動性が2,000万ドル〜3,000万ドルのとき: 金利を-15%
流動性が3,000万ドル〜4,000万ドルのとき: 金利を-20%
加えてAIP13.1で触れられているMIMにかかる基本金利に加えて、現在の担保ベースの金利が適応されます。またオンチェーンの流動性に関する条件を満たし、基準金利が0%を下回った場合は、担保金利は無効にでき、MIMの金利のみが請求されます。
例えばローンの総額が500万ドル(基本金利: 30%)で、担保比率が40%以下(金利を-20%)のときにTriCRVの流動性が1,000万ドル以上の場合は、今回提案する新たな金利制度での負担は0にできるみたいな感じですね。
本提案の所感
昨日の独り言でも書きましたが、AIP13.5が提案された時からのここ数日でCRVの流動性及びMichael Egorov㌠の返済状況が大きく変わったことにより、AIP13.5時点より13.6の時のほうが確実にリスクは減少しているのでまあ「㌠よ、早う返せ」ってことには変わりないですが正直緊急性は減ってますよね。
Michael Egorov㌠のローンの返済状況について確認していたんですが、もちろんAbracadabraだけでローンがあるわけではなく、他のプロトコルの方がむしろローンの合計額は大きいんですよね。Lookonchainの情報によると、8月4日0時前の時点で7,900万ドルほどの負債を抱えているということです。
AAVEの方がやばいですよね。あそこいま内部がちょっと揉めているみたいなんですが、㌠のCRVローンについてちゃんと議論されているのでしょうか?見に行ってみたらまあ当たり前ですがめちゃくちゃ活発に議論されていましたわ。
明日AAVEの話書いてもアリかもですね、㌠にローンは継続的にウォッチしますね。
さいごに
ちょっと話したかったので、最後にまじで今回の内容と全然関係ない話しますね。
いやああ、なるほどBinance Japanサンと思うことがありまして。主に日本上陸と共に登録したユーザーのスクショからでしょうか、取引提供ペアに対JPYのペアが無いとTLで話題になっていました。使い勝手悪いだの何だの言われていましたが、、
対JPYの流動性なんていまは国内大手でもたかが知れているので、グローバル版と板共有するためにBTC建てやBNB建てのペアを提供しているんでしょうね。
日本円入金できるはずなのになんで?って私も初めてみたときは脳内「?」でしたが、たしかにBinanceサンなるほどなあと思いました。ただそれだけです。今月中には日本円出金が始まるということで流石にその内追加されるとは思いますが。
それにしても「SHIB/DOGE」「TRX/XRP」を見たときは笑いましたわ笑笑