今日もこの界隈ではいろんな事がありました、Huobiの資金不足問題が正直気になっていますが真偽不明の情報がまぁまぁあるように感じたので、確定情報が出てから独り言でまとめて配信したいと思います。
今日はステーブルコインのお話でもしましょうか。ステーブルコイン好きとして触れなくてはいけない発表が昨晩ありましたよね。そう、Paypal大先生のステーブルコイン発行の発表。その時に調べた順番に今回は話しましょうか。
Paypal大先生の参入
四谷でシーフード味噌ラーメンを食べてたら特大ニュースが入ってきました。大手決済事業者のPaypalがステーブルコイン事業に参入することが明らかに、しかも向こう数週間以内に流通を始め、購入、送付、そして利用が可能になるとのこと。
PaypalからPyを取ってステーブルコインの名前はPYUSD、名前にもある通り米ドル建てのステーブルコインです。米ドルステーブルコインの二大巨頭である「USDT」はさまざまな疑惑をかけられ、「USDC」は発行量が大きな不振を見せている中で相次ぐ既存事業者の参入は規制感のタイミングなども相まって競争を激化させそうです。
ステーブルコインの発行自体は一定難易度が高い一方で、Tetherの決算を見る限りかなりかなりかなり稼げてる事業なことは間違いないですよね。発行額を伸ばすことさえできたら金利収入で無限に稼ぐことができちゃうわけですもん。
こういったTradFiのライセンスを既に保有済みの事業者の参入は嬉しいことですが、真っ先に発行会社が気になりました。Paypal自体が内部で法定通貨の残高を送金したり保管できる特性を持ち、カストディアン的な業務を行っていますが、果たしてPaypalが発行体なのでしょうか?ホームページ下部に小さく記載されていました。
発行を行っているのは「Paxos Trust Company」でした。まずは「Paxos」のことについてをまずは少し詳しくなっておきましょうか。
Paxosって会社なぁに
米国に拠点を置く「Paxos(正式名称: Paxos Trust Company)」は、コストの高い既存の金融機関を置き換え再構築することを目標にし、ブロックチェーンのインフラストラクチャを世の中に提供している企業です。
2012年に創業し合計5億ドルを超える資金調達を行い、アメリカの規制下でいまは主にステーブルコインの発行事業を行っています。
Paxosから発行している代表的なステーブルコインはBinanceのBUSDでしょう(現在は新規発行停止中)。その他にも自社でUSDP(旧: PAX)とGoldの価格にpegしたPAXGの発行、他には機関投資家向けの暗号資産取引所itBitの運営を行っています。
なので米ドルステーブルコインの発行は今回で3例目ということですね。取引企業にはPaypal以外にもMastercardやNubankなども入っているので、これらの企業のこれからのブロックチェーン関連施策にも絡んでいる可能性が高いですね。
PYUSDについて
PaypalのPYUSDについて公開されていることはさほど多くないですが、わかっていることをいくつかまとめてみました。
Ethereum上でERC-20として発行
米ドル預金、短期米国債、現金同等物が裏付け資産
Paypal内で暗号資産と交換・管理可能
PaypalとVenmoでの送金に対応
決済会社では世界初のステーブルコイン
Paypalのステーブルコインだからこそできる機能や利便性はあるものの、ステーブルコインとしての特性に何か抜きん出ているものがあるかというとそうではなく、BinanceのBUSD的にPaypalのPYUSDと並べて考えても何ら問題ないでしょう。
Contractを見てみよう
次に気になったのはPYUSDのcontractですよね、今月中にもローンチしようとしているトークンがdeployされていないはずはないと思い、探すとありました。
PYUSDのcontractが作成されたのは2022年11月8日10時14分47秒で9ヶ月ほど前のこと、Paxosからの資金移動が確認できるので一級オンチェーン探索士ならすでに見つけていたかもしれません。これが書き終わったら他のPaxos関連txを追ってみます。
あともう一つ気づいたことが、あれなんかこれ見たことあるぞ。PYUSDの使用しているSolidityのバージョンが5年前ぐらいのやつだ、、、
Contract Name: AdminUpgradeabilityProxy
Compiler Version: v0.4.24+commit.e67f0147
これはBUSDですね、確認してみたら一言一句おんなじのcontractを使用していました。全然悪いことではないんですけどねもちろん。
PYUSDの成長可能性
先ほどのPYUSDの紹介時に決済会社初のステーブルコインだとしましたが、それにどのような意味があるのか。そして成長可能性に影響はあるのかを考えてみます。
いままで決済に使えるステーブルコインってあったじゃんってこれを見て思う方もいると思います。例えば取引所が発行してるVisaデビットカードや、その他の決済手段など。でもそれらを見てもVisaやMasterがnativeに対応しているわけではなくて、間にCryptoとFiatを交換する事業者がいて成り立っていますよね。
今回の事例はそこから一つレベルが上がってnativeに決済に対応したとも捉えられます。そこが他のステーブルコイン群との大きな違いです。
すでに抱えているユーザーも段違いですし、他の事業者よりも決済を利用したいユーザーしかいないのでかなり利用の障壁も少ないと考えらるので、ステーブルコイン上位に並ぶぐらいかなり発行額が伸びることを期待しています。加えてCryptoの保有者数アップにもwalletとして一役買いそうです。
Ethereumのポジション
今回決済に向いているスケーラビリティの高いチェーンをファーストチェーンに選ばなかったのも、EthereumのEthereumとしての価値向上も要因と考えています。やはり一見優れているように見える新しいものには変え難い何かがあるなあと、ふと。
sassal.eth氏がツイートで触れていたように、Ethereumが「global settlement layer」へとゆっくりだが確実にになりつつある。の意味がめちゃくちゃ理解できます。
将来的にはUSDTやUSDCのように他の主要チェーンやL2へと対応することが予測されますが、最初のネイティブチェーンにEthereumが選ばれたのは嬉しいです。
まとめ
今回のニュースを見てめちゃくちゃ嬉しかったですし、ステーブルコインがPaypalを取り巻くユーザーの体験をどう変化させるのか。そしてステーブルコイン含めCryptoのエコシステムに取っていい影響を与えるものになるのか注目ですね。
近いモデルで最近発行したステーブルコインだと、香港などに拠点を置くFirst Digitalの「FDUSD」でしょうか。あそこは早速Binanceに気に入られたみたいで。より利便性を向上させるための大手CEXへのListing周りが個人的に気になります。
明日の独り言までに公開情報も増えていると思いますので、今日の独り言の補足と共に明日は何を話すか日中に考えておきます。まだメールアドレスの登録が完了していない方、投稿するとすぐにメールで配信されるので一応オススメです。