みなさんお久しぶりです、普通のニュースレターで会うのは恐らく10日ぶりでしょうか?今日も今日とて復帰したと思ったら一番目にステーブルコインの話を。
お馴染みの大好きなCaesar氏からの新作、もうすぐ新規発行も停止するBUSDについての記事が公開されました。今回はこちらの記事の解説と翻訳を行います。最近この方の翻訳記事の割合が増えていますが、めちゃ勉強になるのと日本であまり議論されない論点の話が多いのでみなさんも見に行ってみてください。
Special thanks to @CaesarJulius0 and source
まず題名にもある「ネットワーク効果」とは何なのか?ネットワーク効果とはよりたくさんの人が使う(そのネットワークに入ってくる)に連れてプロダクトの価値が高まり、ネットワーク自体に大きな効果をもたらすことを指します。ネットワーク効果の脅威はすでに知っている方も多いと思います。
一方でステーブルコインも大きくネットワーク効果が働くことが周知の事実でありながらステーブルコインエコシステム参加者の多くの人たちがネットワーク効果を軸とした議論や施策を行っていません。だからUSDTやUSDCのシェア獲得に苦しんでる訳で。いままでのステーブルコイン関連の記事でいくつかの解決策には触れましたが、今回は「ネットワーク効果」の部分を切り取って話していきます。
そして最初に共有しておくとDeFiエコシステムの中で、USDTとUSDCの優位性、検閲耐性の高い代替手段がまだ育っていない理由を発見することを目的としています。
ステーブルコインのネットワーク効果
ネットワーク効果についてもう一回触れておくと、上手く活用できるとサービスやプロダクトを成長に導くことができる重要な要素の一つです。プロジェクトがネットワーク効果を発揮した場合、新しいユーザーも既存のユーザーもそれぞれで効果を享受できます。これによってユーザーが更にユーザーを呼ぶ構造になり、更なる正のネットワーク効果を生み出すことになりますね。
ステーブルコインエコシステムにこの構造を当てはめると、得られる効果は流動性の向上や取引ペアの増加など。そしてこのネットワーク効果を上手く活用することでプロジェクトの優位性を大きく高めることができ、競合の参入障壁を大きく上げることもできます。
この定義のもとでUSDTとUSDCがステーブルコインを寡占的に支配し続け、新たな代替となりうるステーブルコインが登場しない理由も容易に想像できるでしょう。そして活用したのはネットワーク効果だけではなく、早期参入によるインセンティブも挙げられます。賛否やFUDがありながらも市場を切り開いて行ったからこそのインセンティブで決して悪いものではありません。その結果多くのCeFi、DeFiでUSDTとUSDCが採用され、ユーザー数が拡大するとともにステーブルコインの第一想起へと成長、更にトレーダーに好んで使われるまでになったということ。これがまさに実際に起こったステーブルコインのネットワーク効果が大きな要因とも言えます。
このネットワーク効果によって認知、信頼を獲得したわけで、新たなステーブルコインでの市場牽引力では劣るものしか無い。ということは新たなステーブルコインでネットワーク効果を生み出す難易度が高くなっているとも言い換えれます。
ここで逆にネットワーク効果を今後生み出すためにどのような要素で優位性や独自性を出して戦っていく必要があるのでしょうか?
高い流動性の確保
なんと言っても流動性の重要度は他に変えられません。ステーブルコインは他のトークンよりも取引の体験を向上させる必要があります。ここでいう取引の体験とは流動性から生み出されるスリッページの少なさで、これはペッグの安定性にも繋がりますね。まず流動性がないと新しいユースケースの創出も難しくなりますし、競争の土俵にすら立てません。そして流動性を効率良く生み出すためには資本効率の部分も考慮する必要があります。仮にそのステーブルコインに10億ドルの資金が流入したとしても、Fiat担保型であればそのままの10億ドル、CDPであれば確実に10億ドル未満、ましてやほとんどの場合で担保率200%ほどを推移しているのでかなり目減りします。
CEXへの統合
CEXはマスのCryptoエコシステムとの重要な接点です。CEXを利用している人とDeFiを利用している人で比べたらCEXを利用している人のほうがもしかしたら多いかもしれません。従ってCEXでの取り扱いは、ネットワーク効果を発揮するために重要な要素と言えます。高い流動性を生み出すためにもいずれ必要な条件で、これを現在達成できているのはUSDTとUSDCだけ。この戦略をうまく活用した事例はBUSD、BinanceがBUSDを成長させるためにUSDCのサポートを終了した時にはUSDCの供給量は数ヶ月で100億円ほど低下しました。
DeFiとの統合
先程はCEXについて触れましたが、対局の位置にある主要なDeFiプラットフォームとの統合も非常に重要です。DeFiへの統合がなければステーブルコインは成長途中でいくつかの課題に直面します。CEX上場やCEXの基軸通貨としての採用はネットワーク効果の起爆剤の最たる例であるものの、DeFiユーザーも侮れません、DAIがここでは参考になるかもしれません。ユーザーを獲得する機会として保持しておくべきで、流動性をたくさんの場所で生み出すことは裁定機会の創出にも期待できるので、潜在的な大口トレーダーの誘致にも一役買います。
クロスチェーンの互換性
オンチェーンでの施策として複数チェーンへの展開は必須です。例外としてLUNAのUSTが挙げられますがあれは違った方法で発行量を伸ばしたので、今回は除外ということで。話を戻すと前提として、ステーブルコインのその機能性が故に単一のネイティブチェーンに閉じこもっていたとしても、なんも良いことはないですし、ネットワーク効果の起点から遠ざかってしまっています。
今日はここらへんで一段落しておきます、明日は本題のBUSDに当てはめて上記の部分の評価を行ってみます。ステーブルコインに関する内容はかなりの頻度で触れているので良かったら見てみてください!ではではまた明日の夜にお会いしましょう。