イーサリアムの爆上げ、びっくりしましたよね。自分はちょうど出張でフィリピンにいました。何事かと思ったらETF関連のニュースでしたね。
一時はイーサリアムETFは承認されないんじゃないか、なんていうネガティブなニュースもありましたが、跳ね除ける勢いの上昇。毎度お馴染みのdb氏の投稿でニュースを把握し、今に至ります。
ちょうど帰国したあとの成田エクスプレスで暇だったので、サクッとこれまでの暗号資産ETFがどのようなフローで承認されていたのか。あまりまとめている人がいなかったので、書き殴ってみるとしましょう。
Form S-1の概要
まずよく聞く「S-1」とは何なのか。Form S-1とは、SEC(米国証券取引委員会)に提出する証券登録届出書の一種で、主に8つの利用用途があります。
米国で株式公開(IPO)を行うとき
上場企業が株式を追加で発行するとき(少額の場合はS-3を利用)
一定の条件を満たす社債などの債券の新規発行をするとき
企業の合併や買収に伴う新たな証券の発行をするとき
企業が子会社などを分離し、新会社の株式を親会社の株主に分配するとき
スタートアップなどの一定期間の営業実績がない企業が証券を発行するとき
外国企業が米国市場へ参入し、証券を公募するとき(実際は同等のF-1を利用)
ETFを新たに作成し承認の申請を行うとき
どのケースにおいても、初めの一歩として、最初のアクション時に提出が必要で、ETFの申請を行う時も、まずはS-1をSECに必ず提出するところから始まります。また承認後のForm S-1は、SECが管理するデータベースでいつでも確認することができます。
Form 19b-4の概要
次に今回話題に上がった「19b-4」とは何なのか。Form 19b-4とは、S-1と同じくSECに提出する証券登録届出書の一種で、主に3つの利用用途があります。
証券取引所でのルール変更を行うとき
SROが規則を新たに作成し、改訂を行うとき
新たな商品(ETF、デリバティブ資産、仕組債など)を上場するとき
ETFの上場プロセスに当てはめると、S-1の申請を行った後に一歩進んだことが確認できるのは、19b-4の申請を求められたときといえます。要するにS-1の内容が概ね問題なく承認に向けてSECが動いていると考えてもいいからですね。
今回のイーサリアムETF関連のところでいうと、イーサリアムの現物ETFを新たに上場させたいとS-1の申請をしていた資産管理会社に向けてSECが19b-4の申請を仰いだということなので、承認は近いと言ってもいいでしょう。
承認までのフローを確認
これまでの内容を踏まえて、ETFが新たに上場を承認され、取引が可能になるまでのフローは以下のとおりです。
ETFの発行体になる資産管理会社がSECに提出するS-1の準備を進める
準備が完了したらS-1をSECに提出する
S-1の申請が完了したらSECの審査が開始し、修正が必要なら連絡がくるので待つ
S-1の審査が完了すると、19b-4の申請をSECに行う
一般的に45日以内にSECから19b-4の承認、不承認の連絡がくる(この期限はSECの決定によって最大90日まで審査、回答の引き伸ばしが可能)
承認されると証券取引所にETFが上場され、取引が可能になる
まとめると、SECの審査が二段階で行われており、S-1と19b-4の審査が完了してやっと上場まで漕ぎつけられるということです。重要なのは、すでにS-1の申請時点でETFの詳細が決まっている必要があり、19b-4の準備を発行体は行なっておく必要があるということと、やはり暗号資産に対する審査の目は他の資産に比べて厳しいので、長期戦になることを見越して準備をする必要があるということですね。まあ私たちにはあまり関係ない部分ですが、一応触れました。
また年始からのビットコインの現物ETFの快挙を見て、新たに参入したい企業は多いように感じます。イーサリアムの現物ETFも承認されて、ビットコインと同等の資産クラスへの向上を期待したいですね。
暗号資産がETFで取引されるメリット
最後によく言われるこの話、「暗号資産がETFで取引されるメリット」ってなんなんだろうの部分。自分たちのような暗号資産の取引にすでにアクセスできている身からするとあんまりメリットがないように感じますよね。でもいくつかのETFである理由があるので、いくつか一緒におさらいしましょう。
投資家保護の観点で、暗号資産取引所で保有する暗号資産やセルフカストディウォレットで管理する暗号資産よりも、厳格な規制下に置かれたETFの方が安全
暗号資産取引所の口座を新たに開設する必要がなく、個人投資家や機関投資家が保有している証券取引所の口座から暗号資産の購入が可能になる
最初に挙げた投資家保護の観点などから、一般的に個人投資家の投資対象であった暗号資産が、機関投資家からアクセスしやすくなり流入資金が増加する
証券取引所でも新たに取引されるようになるため、暗号資産の流動性向上
税務的な取り扱いの明確化をETFの証券として扱うことでできる
暗号資産がETFとして取引できるようになることで資産としての信頼性の向上
上記のようなメリットが一般的に挙げられますね。個人的な視点として、やはり資産性の向上は暗号資産がETFになるうえでかなり重要なところかなと思っており、世の中に「仮想通貨」として根付いたネガティブイメージを払拭するためには十分なインパクトだと捉えています。そういえばここら辺の話は、CoinCheckさんの半減期前に公開された記事でも回答しているので、合わせて見てみて下さい。
不定期投稿で申し訳ないですが、また気になることがあれば書いていきます!