今日も週間資金調達の時間がやってきました、体調不良など本業の忙しさも重なり1週間のお休みをいただいていたこのニュースレターですが、本日から再開させていただきます。体調悪いときは素直に病院行ったほうがいいですね、そう思いました。いまは過言ではなく今年一ぐらいの万全の体調なのでご安心を!!!
9月22日から28日までに資金調達を発表したプロジェクト、企業数は17社(前回までの期間の集計漏れや発表時期のズレも含みます)。先週の週間資金調達を見ていない方はこちらからぜひ御覧ください↓
それではそれぞれのプロジェクトを順番に見てきましょう。
DCS
DCS Fintech Holdingsとはシンガポールを拠点とするFintechステートアップで、クレジットカード発行業務を行っています。社名にあるDCSは「Diners Club Singapore」でまさにって感じですよね。
今回の調達先がForsightなのを見てわかるようにCrypto系の事業内容で、カードと相性の良いOn-ramp系のソリューション開発とのこと。ちなみにここは「$DCS」というシンガポールドルにpegしたステーブルコインもローンチしています。
既存のFintech事業者の参入はCryptoの認知拡大に貢献し、ここで連れてくるユーザーはCryptoをバフがかかった状態で見ていないので便利だと思った人だけが残る傾向にあります。金融に対してフレンドリーで比較的富裕層の多いシンガポールでどのようなユーザーを取り込めるのか注目ですね。
調達額: 1000万ドル
投資ラウンド: Strategic
投資家: Foresight Ventures
公式X: なし
公式サイト: https://dcscc.com/
Cygnetise
Cygnetiseとは2016年にロンドンを拠点に立ち上がったブロックチェーンを活用した署名管理プラットフォームを提供しています。電子署名をブロックチェーンを用いて管理しよう的なやつですかね。契約書に特化しているものだと、よく企業のブロックチェーンユースケースとして話している「EthSign」があります。
今回のラウンドではAdjuvoが主導し、Massive、Appoldがフォローで参加しました。ちなみに今年の2月に1414 Venturesから非公開額での資金調達、2017年にはCalibrate Partnersから120万ドルを資金調達しています。
調達額: 306万ドル(250万ポンド)
投資ラウンド: Series A
投資家: Adjuvo、Massive、Appold
公式X: @cygnetise
公式サイト: https://www.cygnetise.com/
Pimlico
Pimlicoとは人が管理しないといけないが故にミスによる流出が多かったウォレットの秘密鍵の管理方法をカスタムできたり、ERC-20でのgas代支払いに対応させれたりするAccount Abstraction系のツールです。
AAについてマスターしてるわけでは無いのであれですが、詳細を見た感じ特に他のプロダクトと大きな差異はなさそう。一方で投資家がえぐ強いのとクリエイティブがいい感じなのでまあ期待して見ていきましょう。
調達額: 160万ドル
投資ラウンド: Pre-seed
投資家: 1confirmation、Safe(Gnosis Safe)、a16z Crypto Startup School(CSS)、ConsenSys、10人のエンジェル投資家
公式X: @pimlicoHQ
公式サイト: https://www.pimlico.io/
KYAX
KYAXとはブロックチェーン、取引所、ウォレット、Google Sheetsなどの様々な情報ソースからデータを取ってきて結合し、デジタル資産に関するレポートを作成可能なレポートツールです。
最近そう言えばKaitoってツールを見つけてめっちゃいい感じで、ChainGPTとかもそうでAIとかを活用したリサーチ効率化サービスは今後も増えそうですね。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: Appold
公式X: @Kyax_official
公式サイト: https://kyax.com/
Zunami Protocol
ZunamiはOmni poolに裏付けられて発行されるステーブルコイン「UZD」「zETH」を発行しているprotocolです。8月にハッキング被害を受け10Mに乗ろうとしていたTVLは現在では1Mを割り込むように。
今回の投資家にCurveの創業者やCream、C2tpがいるのを見るとわかるようにエコシステムからの援助的な意味合いが強いラウンドだったのでは無いでしょうか。直近のConicやその他のexploitを見てる感じの予想ですが、非公開の調達額は恐らく2~3Mだったのではと思います。
調達額: 非公開
投資ラウンド: 不明
投資家: Michael Egorov、MrBlock、C2tP、Winthorpe、Hubert、Paul Sanfira、Cream Finance
公式X: @zunamiprotocol
公式サイト: https://www.zunami.io/
AnchorWatch
AnchorWatchとは既存金融レベルの高いセキュリティを備えたウォレットを始めとする鍵管理ソリューションを提供する企業です。安全な鍵管理、マルチシグウォレットの作成と管理、財務管理などプロジェクトや企業に必要なソリューションを提供しています。
AnchorWatchはアメリカの各州の保健局(DOI)によってライセンスを取得しており規制に準拠したサービスを提供しており、主にストレージデバイスの紛失、自然災害、盗難、ミスなどによる鍵紛失から守るとのこと。
サイトを見た感じですが鍵管理と言ってもBitcoinの管理に特化していて、大きく分けてBitcoin保険なる商品とマルチシグによる複数のウォレット管理商品を提供。
調達額: 300万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: Ten31、Axiom、UTXO Management、Bitcoin Opportunity Fund、Timechain
公式X: @AnchorWatch
公式サイト: https://www.anchorwatch.com/
Avantis
AvantisとはBaseを基盤にしたPerpetual(無期限先物)取引を提供するDEXです。一般的なorderbook方式のDEXと仕組みは変わりないですが、Cryptoの他にコモディティや為替の取引にも対応していて、前者が50倍、後者では100倍のレバレッジをかけれる点がユニークです。
そう言えばこの前の週間資金調達#4で「Base Ecosystem Fund」から支援を資金的な受けた旨の発表がありましたが、それをきっかけに調達が決まったようですね。
調達額: 400万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: Pantera Capital、Founders fund、Galaxy Digital、Base Ecosystem Fund、Modular Capital
公式X: @AvantisFinance
公式サイト: https://www.avantisfi.com/
LeverFi
LeverFiとは最大10倍のレバレッジをかけて取引できるDEXで、トレーダーの預け入れた証拠金(担保資産)に対して利回りが付くのが特徴です。
そういえばこれも週間資金調達#4でStrategicラウンドで500万ドル調達していましたよね。直近で合計700万ドル調達していることになります。プロダクトの成長度的にちょっと資金が入り過ぎで若干のバブルみを感じます。それとDeFillamaにも登録されていなかったのでよく現状はわかりませんでした。
調達額: 200万ドル
投資ラウンド: Unknown
投資家: DWF Labs
公式X: @LeverFi
公式サイト: https://www.leverfi.io/
Fhenix
Fhenixとは完全準同型暗号(FHE、Fully Homomorphic Encryption)を標準で組み込んだ世界初のEVM系ブロックチェーンです。
FHEが何かって言うと普通計算を行う時に暗号化された数字同士で行うのは難しいんですが、FHEの仕組み?を使うと足し算と掛け算は暗号化された数字同士でも計算ができるらしい。詳しいことはわかりませんが、うちのエンジニアメンバー間でちょい前に話題になってたので少しだけ聞いたり調べたりした記憶があります。
要するにスマコンの計算もFHEを活用すればE2E(End-to-End)なやり取りが可能になるってのがこのFhenixですね。
調達額: 700万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: Multicoin Capital、Collider Ventures、Node Capital、Bankless Ventures、Hack VC、Tane、Metaplanet、Robot Ventures
公式X: @FhenixIO
公式サイト: https://www.fhenix.io/
Restake Finance
Restake Financeとは最近流行りのETH、LST、RSTって流れのやつですね。これはEigenにLSTをステーキングする時にRestake Financeを通すとRestakeを証明するトークンを発行してくれるとっていうやつ。
LSDのLSTを活用する要領で、LSTをStakingしたトークンを活用して利回りを拡大できるとのこと。ETHのStaking報酬と、LSTの(Eigenからの)運用報酬、Restake Tokenを運用したときの報酬(もしくはCDP担保利用による資本効率向上)の3重取りができるということですね。
ここだけの話、究極なポンジな気がしますがどのように発展していくのかは見ていかないとダメですね。LSTエコシステムがここまででかくなると思ってなかったのでRSTもワンチャンというところでしょうか。でもこれRSTをリステークするやつもその内でてきそう笑笑
調達額: 50万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: AlfaDAO、DCDAO、0xJeff、Getmoni、Bizyugo
公式X: @restakefi
公式サイト: https://restakefinance.com/
Bril Finance
Bril Financeとはアルゴリズムを活用したトークンの運用によってユーザーのポジションを自動で調節し利回りを生み出すDeFi protocolです。今回の調達と併せてプロダクトをローンチしました。
現在はSeiのtestnetのみで利用することができます。個人的にDocsを読んでもっと知りたかったんですが、探索能力不足か見つかりませんでしたのでこれ以上書けることがありません!
調達額: 300万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: FalconX、Kosmos Ventures、Algorand Foundation
公式X: @bril_finance
公式サイト: https://www.bril.finance/
Rated
RatedとはEthereumとノードオペレーターの分析を提供し、ユーザーがETHを委任するための情報提供を行う格付けプラットフォームです。Ethereumネットワーク参加者の評価について感心があったので調べていたらでてきて知ってたやつで、調達ニュースみたときはめっちゃ嬉しかったです!
今回のラウンドではArchetypeが主導し、フォローで入っている1confirmationは去年11月のシードラウンドでリード投資家として入っていました。前回のラウンドで出資した投資家はDecentral Park Capitalを除き全員が追加出資を行いました。
調達額: 1289万ドル
投資ラウンド: Series A
投資家: Archetype、Placeholder、1confirmation、Cherry Ventures、Semantic Ventures、Robot Ventures、Chorus One、Factor Ventures、Maelstrom
公式X: @ratedw3b
公式サイト: https://www.rated.network/
IYK
IYKとはアーティストやブランド、クリエイターなどが物理的なグッズや商品を販売する時にWeb3的なアプローチでユーザー体験やコミュニティを活性化させるためのプラットフォームや技術を開発しているスタートアップです。
具体的に何をしているかと言うと、物理アセットのトークン化をおこなうためにチップを埋め込んだり、イベントの記録もオンチェーンに刻むとのこと。すでにadidas、9dcc、round21、TylerHobbsなどとコラボしており今後の動きに期待ですね。
来ましたアンドリーセン案件、そしてシードで20億超え!あとクリエイティブ系のプロジェクトというだけあってホームページがかなりきれいです。
調達額: 1680万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: a16z crypto、Collab+Currency、Lattice Fund、1kx、PTC Crypto、Synergis Capital、Coop Records、Gmoney、Erick Snowfro、Justina Versano
公式X: @iyk_app
公式サイト: https://iyk.app/
0xScope
0xScopeとはWeb2とWeb3のデータを元にデータ分析を行うためのプラットフォームです。この感じのやつ上にもありましたよね。VC、スタートアップ、プロジェクトなどなどこの業界に関わる人達に役立つサービスだと思います。
いまはオープンに提供されておらず、リクエストした人のみが使えるようです。
ちなみに前回のラウンドは、ABCDEとHash Globalが主導し、Bonefire Union、Mask Network、BODLから2022年11月から出資を受けました。
調達額: 非公開
投資ラウンド: 不明
投資家: OKX Ventures
公式X: @ScopeProtocol
公式サイト: https://0xscope.com/