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[10.03] BUSDから見るステーブルコインのネットワーク効果の凄さ<後半>

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[10.03] BUSDから見るステーブルコインのネットワーク効果の凄さ<後半>

BUSDはなぜ成功したのか

ta1suke
Oct 3, 2023
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[10.03] BUSDから見るステーブルコインのネットワーク効果の凄さ<後半>

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みなさんこんばんは、今日は昨日の話に引き続き「ステーブルコインのネットワーク効果」についてお話できればと思います。まだ<前半>を読んでない方はこちらから↓

[10.02] BUSDから見るステーブルコインのネットワーク効果の凄さ<前半>

[10.02] BUSDから見るステーブルコインのネットワーク効果の凄さ<前半>

ta1suke
·
Oct 2
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Special thanks to @CaesarJulius0 and source

昨日はステーブルコインにおける「ネットワーク効果」があまり議論されていない中で、USDTとUSDCの二強になっている現状がなぜ生まれたのか、そしてなぜこの勢力構造を変えることができないのか。って内容をネットワーク効果の解説を行いながら説明してきました。その続きとして今日は、BUSDがかつてネットワーク効果を生み出せた実例をみてみます。

ケーススタディ「BUSD」

BUSDはPaxosが発行されるニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)によって規制されている米ドルにpegしたステーブルコインです。発行時の裏付け資産(準備金)は100%現金もしくは現金同等物(短期米国債やCP、MMFなど)で保有されているため、ホルダーはいつでも1:1で法定通貨への償還が可能です。

BUSDは既に新規発行が停止されており、比較的後発のステーブルコインだったので短い歴史ではありながらも、バックにいたBinanceの大きな存在によっていちばんと言っても過言ではない成長曲線を描きました。その中でいくつかBinanceが意図的に関与してネットワーク効果を起こしやすい環境にしました。

  1. Binance上での対BUSDペアのMaker(指値注文)取引手数料を0に

  2. Binance上での対BUSDのステーブルコインペアの取引手数料を0に

  3. Binanceに新規上場したトークンの対BUSDペアで高い流動性を提供

  4. BUSDホルダーに高い利回りの提供

  5. BUSDを使用したBinance Launshpadのトークンファーミングの提供

  6. Binance NFT MarketplaceでのNFT購入手段として採用

  7. Margin(信用取引)やFuture(先物取引)での証拠金利用を可能に

これらの利点のおかげで低い手数料を求めるトレーダーにとって魅力的に映り、発行量が増え、更にDeFiエコシステムでも存在感を大きくしてきました。これはBinanceにしかできなかった技だとは思いますが、このように意図的なネットワーク効果を生み出して味方につけることは充分可能だという証明とも見て取れます。

USDTとUSDCの市場シェアが75~80%あたりで推移していたのに対し、BUSDは数%から最大で15.07%にまで成長し、間違いなくUSDTとUSDCが覇権を取ってから最も市場の塗り替えに近づいたステーブルコインとでしょう。なぜBUSDは成功したのかを昨日のネットワーク効果の要素を元に解説します。

  1. CEXへの統合

    1. Binanceの後ろ盾と支援があったことにより、BUSDのCeFi、主にCEXでの採用は他のステーブルコインよりかなりのスピードで進みました。その結果として勝手に上場させる取引所が増え、DeFiでの利用も拡大し、次第に好んで使われるステーブルコインへの成長しました。そもそもBinance上で手数料無料取引をサポートしているため、BUSDを利用するインセンティブを提供していたのも強いところ。他の主要なステーブルコインでは利害が一致しないのでなかなか難しい技だったのではと思います。

  2. DeFiとの統合とクロスチェーンの互換性

    1. これもBinanceの後ろ盾と支援があったことにより、BUSDはBNBチェーンでいちばん使われていたステーブルコインでした。一方でBNBチェーン以外の展開も十分に行っていたので、ネイティブチェーンであるEthereumでのシェアも20%を超えていました。ユーザー層が異なる両チェーンにおけるプレゼンスの向上も存在感の大きさに良い影響を与えています。

  3. 高い流動性の確保

    1. CEXとDeFiを跨いだ取引量と発行量の確保ができた事により、プラットフォームでも、CEXの取引ペアでも、DEXのプールでも、チェーンを問わない高い流動性の確保に成功しました。トレーダーの中でも徐々に認知と信頼感を獲得し、下でも書いている「自己強化」的なサイクルを生み出しました。

最初はお願いして使ってもらう必要があったステーブルコインでも、みんなが使うようになってきたら採用せざるを得ないし、むしろそのステーブルコインエコシステムに乗っかる形で戦略的に採用するプロダクトがでてきたらもう勝ちですよね。

まとめ

結論として言えるのは、ネットワーク効果がいかにステーブルコインの成長において重要なのか。いま一度考えて議論する必要があると思います。有名どころのCDPは保有インセンティブをつけて資金力のあるユーザーを獲得して、そのユーザーを活用したい周辺DAppsによって盛り上げられますが、ユースケース不足などの要因によって一過性のトレンドになることが多く見受けられます。

そしてこの中央集権的なFiat建てステーブルコインが非中央集権化を望むDeFiエコシステムで覇権を取っているのは、過去にも話しましたが結構なギャグ。分散型ステーブルコインの市場をより大きくしていくためには、昨日今日で紹介したようなネットワーク効果を分解して充分に理解することを前提に、議論をする必要があるかと考えています。もちろん簡単では無いことは承知ですがきっかけを作りましょう。

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