[月間資金調達#1] BitGo、Zetachainなど49社が3億1000万ドル超えを資金調達
皆さんこんばんは、今月から月単位の資金調達まとめも投稿したいと思います。8月分に関しては8月18日以降のものしか無いので、調達に関する詳細は18日からのもので、資金調達の月間集計は8月いっぱいのデータを元に行います。
今後は集計と詳細共に該当月分すべてをまとめて掲載します。
週間資金調達はこちらから↓
それでは8月の資金調達状況のまとめとそれぞれの詳細を見ていきましょう。
8月の集計結果
8月1日~31日までの資金調達の集計結果は下記のとおりです。
合計資金調達額: 312,420,000ドル(調達額非公開を除く)
合計調達件数: 49件
調達額のランキング上位は以下のとおりです。
BitGo(シリーズC): 1億ドル
friend.tech(Seed): 5,000万ドル(非公式情報)
Zetachain(非公開): 2,700万ドル
Jada Ai(非公開): 2,500万ドル
Anytype(非公開): 1,340万ドル
friend.tech
friend.techとは「Share」という個々に紐づいたファントークンのようなものがみんなに発行され、所有することで発行者と話ができるSNSです。
Coinbaseの開発するL2、Baseでローンチされ、Baseの注目度上昇に合わせて急速に成長したプラットフォームの一つです。発行されたShareはいつでも売買なのでフォロワーの多いインフルエンサーのShareを中心にBOTが参戦し価格が高騰しています。
執筆時点(8月25日13時)では売買はユニークアドレス数は111,700、売買は200万txを超え、8月21日にはBaseのtx数の37%を占めるほどの人気でした(参考: dune.com)。
かなり大手のCrypto VCにしては攻めた投資をしたParadigmですが、どちらに転ぶのでしょうか。日本でもVALUやTimebankのような似たような仕組みがあったものの長期的な運営が難しかったので、このモデルでどこまで持続性が出せるのか引き続き注目したいと思います。でもすごいのはprotocol feeだからみんな見てみてね。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Seed
投資家: Paradigm
創業者: 0xRacer
公式X: @friendtech
公式サイト: https://www.friend.tech/
UXUY
UXUYとはMPC(Multi-Party Computation、マルチパーティー計算)ウォレットと統合したDEXを提供しているモバイルアプリです。取引の安全性を向上するために、SafeheronとGoplusの3社で共同開発しているのが特徴です。
bybit、bitget、okx然り独自のウォレットを開発したり買収したりしている中、同じレイヤーの取引所、MEXCから出資を受けました。厳密にはMEXCのインキュベーションおよび投資部門「MEXC Ventures」からの出資です。
CEXのような取引体験を目標に掲げ、gas代支払い用のnative tokenも必要なく、アグリゲーターを内包した取引プロセスでシームレスな取引を提供します。
ウォレット系の資金調達はマネタイズの難しさから少し下火になっていましたが、取引所系は依然として前向きな姿勢が見られますね。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: MEXC Ventures
創業者: 不明
公式X: @uxuycom
公式サイト: https://uxuy.com/
PADO Labs
PADO Labsの開発する「PADO」はオフチェーンデータを高いプライバシーで保護をした状態で検証できる信用証明書(CC、credit credentials)を発行できるプラットフォームです。例えばユーザーは個人情報を明らかにせずとも既存のゲームで成績が良かったことをGameFiプロジェクトに伝えることで、Airdropの対象者になるみたいななことが実現可能です。
他のオンチェーン証明発行系と異なる点は、MPC-TLS(Secure Multi-Party Computation on Transport Layer Security)やIZK (Interactive Zero-Knowledge Proofs)を使っている点。←については詳しくないので言及しません。
オフチェーントラストというよりも、複垢対策の一貫で「Gitcoin Passport」を筆頭にスタンダードが形成されている中、どのような活用方法を今後提示していくのかと、どこと組んでやっていくのかに注目です。どこから投資を受けたのかが非公開なのが気になりますが、Seedで300万ドルって日本だとまあない額なんでグローバルプロジェクトってすげえな心に染みますね。
調達額: 300万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: 非公開
創業者: Xiang Xie
公式X: @padolabs
公式サイト: https://www.padolabs.org/
Drip Labs
Drip Labsは「DRiP」というクリエイターが毎週サポーターに無料でNFTをギフトとして渡せるサービスです。現在ユーザー数が5,000万人を突破しており、2,500万以上のコレクションが既に配布されているとのこと。
耳馴染みのあるエンジェルとファンドが入っていたのでもっとサービスについて調べてみたかったのですが、docsやwhitepaperが見当たらなかったのでここまでの情報しかかけませんでした。
一つ興味深かったのは調達を報告するツイートに来た「But.... continuously giving out free stuff isn't a sustainable form of scaling a business. Thought VC's would know that. 」というリプに対して公式が「🤫」と送っていたことですかね。
調達額: 300万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: Placeholder、6th Man Ventures、Anagram Crypto、Collab+Currency、BOOGLE、B+J Studios、Big Brain Holdings、Interlace Ventures、Solana Ventures、Nalaji Srinivasan氏、Anatoly Yakovenko氏、Raj Gokal氏、Austin Federa氏、Mert Mumtaz氏、Bunjil氏、Nom氏、Tiffany Huang氏、Shake氏、ArbVision氏、Finn氏、Alex Gedevani氏、Asha Mungara氏
創業者: Vibhu Norby
X: @drip_haus
公式サイト: https://drip.haus/
Nodal Power
Nodal Powerとはゴミの埋立地から排出されるメタンガスを電力に変換し、再生可能エネルギーとして販売を目指すスタートアップです。しかも面白いのがこの電力を全て販売するわけではなく一部をBitcoinのマイニングに充てていく点。
二酸化炭素より温室効果が25倍高いメタンガスをどうするかは以前からの課題であり、この漏れ出したメタンガスを焼却しエネルギーに変えることで解決しようとしています。またマイニングは電力消費が問題になっており、再生可能エネルギーの利用促進が問われる中で非常に興味深い一手と言えるでしょう。普通に実現できれば一石三鳥ぐらいだと思うので頑張って欲しいですね。
本ラウンドの投資家は一応非公開みたいですが、公式XからフォローされているCH4 Capital、Satoshi Action Fund、Spacestation Investmentsあたりが投資家なのではないかなと。ちなみにCH4は資金調達のプレスリリースにコメントまでしてるので投資仮説はかなり濃厚。
調達額: 1,300万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: 非公開
創業者: Bryan Black、Matthew Jones、Daniel Sechrest
X: @NodalPower
公式サイト: https://www.nodalpower.com/
Moonbox
Moonboxとは生成AIを活用してDigitalを再構築し、芸術と映画を参考にした生成AI×NFTのアプリケーションを開発しているスタートアップです。
ホームページもまだちゃんと閲覧不可でdocs等も見つからなかったのでこれ以上のことはわかりませんでした。ちなみにBing VenturesとはMicrosoftのBingではなく、新興取引所「BingX」の投資部門のことです。正直BingXとの一致がファーストインプレッションじゃ難しいので一緒にしてほしいですね。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: Bing Ventures
創業者: 不明
X: 不明
公式サイト: https://moonbox.co/password
Maple Finance
Maple Financeとはオンチェーンでお金を貸したり、融資したりできるLending protocolです。オンチェーンで資本の透明性と自由性を高め、オフチェーンで金融機関レベルのデューデリジェンスを行うことで新しい資本市場を形成しています。
今年前半は🐻マーケットの煽りを受けて10Mを切りそうだったTVLも、現在60M弱へと大きく上昇しており、金利高からのRWA注目度合いが顕著にわかります。
さすがはMaple、投資家陣が錚々たる顔ぶれですね。今回の調達の目的はDeFiを超越してTradFiでも地位を確立していくこと。そしてthird-partyの審査機関がオンチェーンで融資及び事業の拡張ができるようにしていくことで、長期的にMapleをより持続的な運営にしていきます。競合にあたる「Goldfintch」との戦い方も気になります。
調達額: 500万ドル
投資ラウンド: Strategic
投資家: Blocktower Capital、Tioga Capital、Framework Ventures、Veris Ventures、GSR、Maven 11 Capital、Spartan Group、Cherry Ventures
創業者: Sidney Powell
公式サイト: https://maple.finance/
Delphinus Labs
Dlphinus LabsとはOpen SourceのzkWASM及びzkWASM Hubを開発するスタートアップです。今回の調達ではzkWASMの継続的な開発資金に充てられます。
あんまりここらへんも人並レベルしか知識がないので深いことは言えませんが、、、WASMはGoogleなどが開発した仮想マシンであり、広く言語をサポートしている実行環境です。Astar関連のニュースで聞いたことがある人も多そう?
Github → https://github.com/DelphinusLab/zkWasm
調達額: 非公開
投資ラウンド: 不明
投資家: Binance Labs
創業者: Sinka Gao
公式サイト: https://delphinuslab.com/
HungriGames
HungriGamesとは「Metahorse Unity」という5万フォロワーを超えるWeb3競馬ゲームを開発するゲーム開発スタートアップです。Sandboxの元クリエイティブ担当をチームに引き入れクオリティの高いゲームを開発しています。このゲーム、今月末にはmintが開始するみたいなので日本でも聞く機会が増えるかもしれません。
個人的にここに出してる投資家たちはあまり見ない人たちなのがちょっと気になります。特筆すべきことはなかったので、アップデートがあったり日本で話題になった場合は弊社メディアで取り上げたいと思います。
調達額: 190万ドル
投資ラウンド: Strategic
投資家: Boğaziçi Ventures、Sebastien Borget、Roko Finance、Preston labs、Triple Dragon、Erol Ozmandiraci氏、Oyunfor氏、Caglan Tanriverdi氏
創業者: Kagan Berk Kocak
公式サイト: https://www.hungrigames.com/
Pendle Finance
Pendle Financeとは元となるトークンを元本トークン(PT)と利回り部分(YT)に分離させ、🐮マーケットでの利回りの最大化と、🐻マーケットでの利回り低下に対するヘッジを実現しているyield derivative protocolです。
仕組み的にはTimeless Financeとかに近いのかなと思いました。Timelessと比較してBinanceが以前から推している気がしまして、Binanceにも7月頭に上場しましたしやっぱりUIのわかりやすさとタイミングって大事なんだなと感じました。
今月3件目?ですかね、CurveのOTC、Delphinus Labsに次ぐ3件目の出資です。取引所系CVCの中でも🐻マーケットで投資件数を落としていないのは強い資金力を感じますね。BNBが不調ですが次の🐮マーケットでもトレンドの中心にいてほしいです。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: Binance Labs
創業者: TN
X: @pendle_fi
公式サイト: https://www.pendle.finance/
Anytype
AnytypeとはDigital assetsの作成及び保存を安全に行うことを目標にしたLocal-firstのE2E encrypted softwareです。いまはタスクやメモ、アイデアの共有、ドキュメントの保管などを行うことができます。
ホームページを見た感じはNotionやCodaとかに似ているなぁと感じたので実際にあとで使ってみようと思います。
でもなんでAnytypeがこのリストにいるのかというと、Accountの管理がBIP-39ベースのシードフレーズで行われているから。docsの「Recovery Phrase」のページにもありますがウォレットみたいな画面が出てきています。これはおもしろいですよね。ブラウザ版はなくbeta版がMac、Linux、Windows、Android、iOSで配信されているのでぜひ皆さん使ってみてください(https://download.anytype.io/)。
調達額: 1,340万ドル
投資ラウンド: 不明
投資家: Balderton Capital、Inflection、Square One、Script Capital、Protocol Labs、Connect Ventures、New Forge、Foreword VC、Trent McConaghy氏、Jutta Steiner氏、Luis Cuendo氏、Adam Wiggins氏、Peter von Hardenberg氏、Markus Ament氏、LibermansCo氏
創業者: Zhanna Sharipova
X: @AnytypeLabs
公式サイト: https://anytype.io/
Lumina
LuminaとはMina protocol上でPermission型及びPermission-less型のハイブリッドなDEXを提供するDeFiプラットフォームです。ゼロ知識証明の活用により個人情報をお互いに開示する必要なく、検証された取引相手とのプライベートでTrustlessな取引を可能にします。
DeFi×KYC分野は「Blue」を始め注目している領域の一つなので、プレイヤーが増えているのは非常に嬉しいことです。
きたきたきたー!Jump Cryptoは個人的にCrypto VCの中でもポートフォリオの大好きさがTOP3に入るんですよね。Jumpが入ってたら問答無用で即調べます。あとしっかりMinaが後押ししているのも好印象ですね。
あとPaimaのエンジニアのSebastien Guillemotさんがバックエンドエンジニアとしてチームメンバーに入っていてびっくりしました。すごいですこの人本当に!
それに加え代表のEvan Kereiakes氏はCeloの主要なDEX「Ubeswap」のファウンダーでもあります。かなり強いチームですねこれは。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: Mina Foundation、Jump Crypto、Big Brain Holdings、O(1) Labs
創業者: Evan Kereiakes
X: @LuminaDEX
公式サイト: https://luminadex.com/
Cryptoworth
Cryptoworthとは会計士向けに設計された暗号資産会計サービスを提供しているスタートアップです。一般的な税金のほかに対応しているところが少ないDeFiやNFTの取引にも対応しており、リアルタイムの損益計算に加え、暗号資産スタートアップには嬉しい暗号資産支払い用の請求書管理も可能です。
主要な顧客にAAVE、Axie Infinity、Moonbeam、Huobi、PWC、Stacks、Request、Pumapay、Gate.io、POLYMATH、everstack、Celo、Solana、GrantThorntonといった一流の暗号資産関連企業、DeFi protocol、スタートアップを含みます。
ブロックチェーン領域に参入する時の障壁の一つに会計や税金の管理って話を大企業やクライアントから私たちもよく聞くので、こういったサービスが増えてくれるのは嬉しい一方で明確な差別化が困難になってきているので、おそらく今後は極端な価格競争もしくは営業強いところが残るか、税理士や専門家も一緒にセットでサポートして単価を上げていく方向になると思いますね。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: CMT Digital、Kyber Network、Saison Capital、ODA Capital、Polygon
創業者: Jay Geeth
公式X: @CryptoworthApp
公式サイト: https://cryptoworth.io/
Raleon
Raleonとはゲームやブランド向けにweb3マーケティングを簡単に始められるツールや機能を提供しているスタートアップです。従来のタスク型プラットフォームとは異なり、よりターゲットを絞ったアプローチを実現可能にしています。
例えば自身のサイトに埋込可能なクエストの作成や、ターゲット指定を行ったアプリ内のメッセージング機能、アナリティクス部分も競合と比較しながら実際に効果があったのかの測定やオンチェーン分析にも対応しています。
またユーザーのプライバシーにも配慮しており、Cookieを利用せずその他のIPアドレスなどを取得していないのも特徴です。意外とCookie同意のポップアップで離脱しているケースもあると思うので事業者にとってもいいかもです。
調達額: 380万ドル
投資ラウンド: Strategic
投資家: Blockchange Ventures、Play Ventures、Alliance DAO、Portal Ventures
創業者: Nathan Snell
公式X: @RaleonHQ
公式サイト: https://raleon.io/
BitOasis
BitOasisとは中東や北アフリカ地域で高いシェア率を誇るCEXです。調達した資金を活かして新たな顧客の獲得や更なるマネタイズを行うとともに、他地域でのライセンス取得による提供地域の拡大を行う予定です。
リード投資家としてCoinDCXが、フォローでWamda CapitalとJump Capitalが出資を行っています。前回のラウンドからの継続出資はWamda Capital、Jump Capitalの2社でそういえば前回のシリーズCではいまはなきAlamedaが出していました。
CoinDCXは以前からOrdinarly Network、Space and Time、Unstoppable Domains、Liminal、metaENGINEにリード、フォロー含め出資を行っている一方で、BitOasisの所在するMENA地域への初めての出資案件になったみたいです。
また今回のラウンドについては言及していませんでしたが、ひとつ前の調達ニュースが3,000万ドルでシリーズCだったことを考えると、4~5億ドルあたりで並行したバリュエーションでの調達かなと。かなりCEXビジネスもListing取ってこれないと厳しいってところが多いので調達や合併、縮小は国内外で今後さらに加速しますね。
あとなんかdubaiの誰かが「こっちではBinanceかBitOasisしか使ってないよ」とか言ってた気がしますが、真偽は不明です(知ってる方いたら教えてください)。ちなみに直近7月の月間アクセスは4.6万だったのでまあまあよくわかんないです。
調達額: 非公開
投資ラウンド: 不明
投資家: Blockchange Ventures、Play Ventures、Alliance DAO、Portal Ventures
創業者: Ola Doudin
公式X: @bitoasis
公式サイト: https://bitoasis.net/
FirstMate
FirstMateとはノーコードでブランドやクリエイター毎にカスタマイズしたマーケットプレイスを作成可能にするツールを提供しているスタートアップです。Opensea、LooksRare、x2y2、Foundationなど複数のマーケットプレイスのアグリゲーター的機能も備えており、カスタマイズしたGemやGenieのような使い方ができます。
見た感じはRaribleが提供しているノーコードマケプレ構築サービス「Rarible API」と似た感じかなと思いました。
9dcc、sound.xyz、Bankless、FELT Zineとパートナーシップを締結しているとのことでこれからのコラボレーションにも期待ですね。
調達額: 375万ドル
投資ラウンド: 不明
投資家: Dragonfly Capital、Coinbase Ventures、Nextview Ventures
創業者:
公式X: @usefirstmatexyz
公式サイト: https://www.firstmate.xyz/
Builder DAO
Builder DAOとはweb3プロジェクトのインキュベート、教育、リサーチを提供しているDAO主導のプロジェクトです。現在12のプロジェクトをインキュベーション中で面白いプロジェクトがたくさんありましたので記載しておきます。
Vitae3、Nextme、FutureX、SourceDAO、MetaShield、iSnoopy、MetaTraining、Pix Space、Ubiloan、Furion、Dorse、HooH
海外は比較的ハッカソン後に継続して開発いるものやプロジェクト化するものが多く見受けられますが、国内のハッカソンを見る限りその場のプロダクトが多くあるように思うので、運営がサポートするとともにこういったグローバルマーケットに精通している人が中にいるインキュベーションプログラムが増えると嬉しいです。
調達額: 200万ドル
投資ラウンド: 不明
投資家: Sequoia China、SevenX Ventures、Bing Ventures、DRK Lab、M77 Ventures、Gate Labs、Mirror World、Conflux、Vitalbridge Capital、Inverse Ventures、Doc Labs、Nicholas Hu氏
創業者: なし
公式X: @BuidlerDAO
公式サイト: https://buidlerdao.xyz/
ProsperEx
ProsperExとはDeFiのセキュリティとRWA、そこにAIをかけあわせたDEXです。ユーザー体験を最大に考えた設計を行っているそう。
実際にプラットフォームを見に行ってみたんですが、大手CEXと似たインターフェースで取引量もBTCUSDTで1B手前ぐらいあったので同期間のdYdXを3倍ほど上回っています。現物の取引量は新興CEXぐらいでしたが悪くなさそう。
現在の対応チェーンはBSCとPolygonです。またホームページを見る限り、主要暗号資産ペアの他に為替、株式、コモディティの取引にも対応するみたい。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Strategic
投資家: EMURGO
創業者: 不明
公式X: @prosper_ex
公式サイト: https://www.prosperex.xyz/
Campaign
CampaignとはECを利用するクリエイター及びブランドの顧客エンゲージメントを高めるために、ブロックチェーンを活用した施策をノーコードで実施できるプラットフォームです。オンラインとオフラインのいずれもを活用したマーケティングからパーソナライズされた特典の付与など様々な機能を搭載しています。
相場の停滞や規制感の不透明さから業界が冷え込んでいるように見える一方で、事業者の参入や興味関心の角度は衰えておらず、直近の「Base × Coca-Cola」の事例を見てもそれは顕著でしょう。その観点からこういったエンプラ向けのノーコードプラットフォームは営業力勝負ですが需要はあるように感じます。
今回のラウンドで出資を行ったのはLloyd Leeさんが代表の「HYPERITHM」で、ここは日本と韓国で機関投資家向けの暗号資産管理事業を行っており、韓国では暗号資産交換業の該当するライセンスを保有。去年の3月にそういえばCoinbase Venturesから出資を受けていたり、6月にはWeb3ファンドの設立発表もありました。
スタートアップ投資と、機関投資家のマーケットとのブリッジ役という2つの側面からエコシステム発展に貢献していくクリプト業界の必要なプレイヤーです。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Pre-Seed
投資家: HYPERITHM
創業者: 不明
公式X: @CampaignLayer
Lyvely
Lyvelyはフリーランスおよび自営業を営むクリエイターのコンテンツの収益化をサポートするサービスを提供しているアラブ拠点のスタートアップです。トークンを発行し有料のSNSを構築しマネタイズを行えるようにする予定らしい。
既存のアプリユーザーに抵抗感のないweb2-likeな設計にする予定で、多くのユーザーをweb3へ引き込むことを目標にしているとのこと。公式サイトの情報量も少なく、Xも見つからなかったので紹介できる情報は以上です。
調達額: 非公開
投資ラウンド: Seed
投資家: Cypher Capital
創業者: Farah Zafar
公式X: 不明
公式サイト: https://lyvely.com/
GPU.Net
GPU.NetではGenerative AI、LLM、3Dレンダリング、web3領域などの新領域へ参入する企業を支援するための計算リソースを確保するために、分散したGPUネットワークを構築し提供しています。完全準同型暗号(FHE)を用いてリソース提供者が計算内容にアクセスすることなく、プライバシーが保護された環境で計算リソースの利用を可能に。
資金調達のリリースと同時にNvidia、Taanga Studiosとのパートナーシップも発表し、同社の支援を受けながら今月ローンチ予定のtestnetに向け準備を進めています。
Cryptoプロジェクトの分散GPU系だと「Render」が競合になるんですかね。調達額もグローバルプロジェクトにしてはかなり小さく、100万ドルを切っているので今回の調達資金でどこまでグロースさせられるのか気になる一方で、トークン発行して追加で資金調達をする説もあるので引き続き追っておきます。
調達額: 50万ドル
投資ラウンド: 不明
投資家: Momentum 6、Alphablockz
創業者: Suraj Chawla
公式X: @gpunet
公式サイト: https://gpu.net/
IronMill
IronMillとはゼロ知識証明を活用したアプリケーションの立ち上げを支援するインフラ系のスタートアップです。「誰でも検証可能なインターネット」を目標に同社では現在「Oxide」というプロジェクトを立ち上げて開発を行っています。
創業者であるGreenblatt氏は、スタンフォード大学で電気工学の博士号を取得しているほか、複数の特許を持ち、過去に本の出版も行っています。機械学習に関する多彩な経歴の持ち主であり、起業家としても活動しています。
日本のGumiの投資部門であるgumi Cryptos Capital(gCC)をリード投資家とし、その他複数の投資家が参加。なんかGumi案件久しぶりな気がします。
調達額: 260万ドル
投資ラウンド: Pre-Seed
投資家: gumi Cryptos Capital、Blockchain Builders Fund、Superscrypt、LongHash、Kestrel 0x1、SevenX
創業者: Greenblatt
公式X: @ironmill_xyz
公式サイト: https://www.ironmill.xyz/
DeForm
オンチェーンアクティビティからなるオンチェーンデータを活用してマーケティングを行うCRMを開発しているスタートアップです。デジタルマーケがオンラインからオンチェーンに移行する未来を見据えて、より効果的なエンゲージメント追跡、インセンティブ設計の構築を提供しています。
その中でもオンチェーンのワークフローとの統合、顧客データにしたがってオンチェーンデータとAIを活用したデータ処理、デジタルコレクティブルとトークンの配布などに長けているのが特徴です。
今回のラウンドではKindred Venturesがリード投資家として参加し、Elad Gil、Scalar Capital、A.Capital Ventures、Next Web Capital、Alchemyがフォローで、エンジェル投資家としてNaval Ravikan氏、Marc Bhargava氏、Nader Dabit氏、Sep Kamvar氏、Scott Belsky氏、Patrick Collins氏、Charley Ma氏、Albert Hu氏、Sina Habibian氏が参加しました。
そういえば今朝「Farcaster」の招待なしwaitlistのQRを見たんですが、たしかこのDeformが使われていて早速広がりを感じています。一方でこういったマーケティングツールの主な利用者がweb3プロジェクトに偏る傾向にあるので、既存のweb2企業へのアプローチには注目しています。
加えて今週だけでもweb3マーケティング系が3件あるようにかなり飽和した市場になってきています。オンチェーンデータの抽出は誰でもできるからこそ分析の角度や機能面でいかに優位性を作るかがポイントです。個人的にweb2企業が参入する時のフックは、web3企業やNFT-IPとのコラボを希望してることが肌感で多いので、そこら辺の繋がりを強調しているプロダクトに一定の伸びしろがあるように感じています。
調達額: 460万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: Kindred Ventures、Elad Gil、Scalar Capital、A.Capital Ventures、Next Web Capital、Alchemy、Naval Ravikan氏、Marc Bhargava氏、Nader Dabit氏、Sep Kamvar氏、Scott Belsky氏、Patrick Collins氏、Charley Ma氏、Albert Hu氏、Sina Habibian氏
創業者: Catherine Chang
公式X: @deformapp
公式サイト: https://www.deform.cc/
Stroom Network
Stroom NetworkとはBitcoinのLightning Network(LN)にLiquid Staking Pratformを提供するウクライナ拠点のスタートアップです。LNにBTCをdepositすることでroutingの手数料を得ながら、ERC-20の「lnBTC」が1:1で発行されるのでEthereum上で担保として別の資産を借りたりして資本効率を上げることができます。
創業者のRostyslav Shvets氏はBitfuryやLidoで以前働いていたこともあり、ブロックチェーン業界にもLiquid Stakingにも詳しい人物です。
このラウンドではGreenfieldが主導し、Lemniscap、No Limit Holdings、Cogitent Ventures、Mission Streetが参加しました。
調達額: 350万ドル
投資ラウンド: Seed
投資家: GreenfieldLemniscap、No Limit Holdings、Cogitent Ventures、Mission Street(Ankr)
創業者: Rostyslav Shvets
公式X: @StroomNetwork
公式サイト: https://stroom.network/
Coral Finance
Coral Financeとはレバレッジを掛けた利回りを享受できるNautilus Chain上で初めてのデリバティブ取引プラットフォームです。
多くのDeFiが初期の流動性を集める時に高い利回りを提示している持続性のない現状を変えるためにトークンローンチ前にpremium poolを作成できるようにし、トークンの価格下落を緩やかにするともにユーザーに投機的な取引の機会を提供します。
ユーザーは流動性を追加することでcTokenが発行され、cTokenを原資産にした新たな市場を作成可能です。既存のveTokenの資本効率を向上させるためにPIMという時間の経過とともにAPYが現象する仕組みを提案しました。ユーザーが継続的に流動性を追加するモチベーションをここから生み出しています。
ちょっと情報を読むだけじゃあんまり分からなかったので、実際にこの後触ってみようと思います。面白かったら別途ニュースレターで書きます。
調達額: 50万ドル
投資ラウンド: 不明
投資家: Momentum Capital
創業者: 不明
公式X: @Coral_Finance
さいごに
やはり今年に入ってからは1億ドル超えの超大型調達の数がかなり目減りしているように感じます。ファンドの組成が毎日のように起こっていた去年以前のバブルと比べるとほんとに考えられない状況です。
新領域やトレンド産業への投資はハイリスクだがかなりのハイリターンが見込めることで魅力的ではありますが、市場が冷めるスピードも比例していてそれが顕著に現れているのがCryptoやweb3領域だなって感じます。
一方で技術ベースで開発を進めている人たちは一定数残り続けているので、次の春の大きな波に乗るために力を蓄えている状況です。これからも資金調達を追っていくことで業界の市況感やトレンドを効率よく把握していきましょう。
それではまた来月の月間資金調達でお会いしましょう。