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[9.12] 米国債のオンチェーン化がまた来た

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[9.12] 米国債のオンチェーン化がまた来た

でも今回は一味違う?

ta1suke
Sep 12, 2023
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[9.12] 米国債のオンチェーン化がまた来た

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みなさんこんばんは、いま振り返ってみるとこのニュースレターではRWA(Real World Assets)に関して積極的に取り扱ってる方で、なんだかんだ人気の領域のコンテンツの一つなんですよね。

今日もRWA系(主に米国債系)のキャッチアップをしていたのですが、ちょっといつもの米国債トークン化系とは違うっぽいのが出てきまして。ちょっと日本語圏でも話題になってるかな?って感じなのでせっかくなので概要をまとめようかなと。

今回の独り言では世界初のpermissionlessなyield-bearingステーブルコインとされる「USDM」を発行している「Mountain Protocol」について書いています。まだ昨日のニュースレターを読んでいない方はこちらから↓

[9.11] ステーブルコインの疑問を解決するいくつかの機能性

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ta1suke
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冒頭でも触れたように過去にもこのニュースレターでRWAについて多く触れているので、ぜひこちらも参考にしていただけると↓

[8.11] RWAとDeFiの未来

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 [8.28] トークン化はギャグなのか

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ちょっとRWAのトレンド感については説明しておきますか。

現在日本でも海外でもトークン化(Tokenization)の動きは加速していて、TradFiを中心に参入が相次いでいます。国内では不動産や権利などのトークン化がトピックとして上がるものの、海外ではもう一周終わってるトレンドで、いまは金融商品のオンチェーン化、その中でも主に世界中の投資家から取引されているものが多いですね。なので今回紹介する米国債なんてものはど真ん中ということで。

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Mountain Protocolについて

Mountain Protocolとは誰もがEnterprise向けの規制レベルで守られた安全さで「risk-free rate」にアクセスできる世界を作るべく立ち上がりました。Mountain曰く利回りの高いステーブルコインは以下を提供するべきだとしています。

  • Permissionlessなcomposability

  • Enterpriseレベルの安全さ

  • 規制への準拠

  • シームレスなユーザー体験

これを実現するためにMountainは「USDM」と「Mountain Protocol Platform」を開発しています。またそれらに伴いバミューダ諸島でDigital Asset Businessのライセンスを取得しています(license #202302512)。

ステーブルコインの機能に関する話は昨日と一昨日のニュースレターで話しているのでぜひこちらも見てみてください↓

[9.10] オンチェーンデータによるステーブルコインの機能分析

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[9.11] ステーブルコインの疑問を解決するいくつかの機能性

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Sep 11
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文中ではステーブルコインと言っているものの、どちらかというと米国債のオンチェーン化に近いので米ドルにpegしたものに利回りを付ける仕組みではありますが、この上の記事のステーブルコインが指すものと同意かはちょっとびみょいです。

USDMについて

USDMとはERC-20形式でブロックチェーン上に発行されていて、米ドルと1:1の価値を持つリベーストークンです。裏付け資産は倒産隔離口座(bankruptcy-remote accounts)の「USDM Reserves」で管理されています。運用資産の利回りによって今後変更される可能性がありますが現在(9月12日)は5%を推移しています。USDMは単なる短期米国債だけではなく下記のポートフォリオで運用されています。

  • Treasury bills, or treasury notes with near maturity(短期米国債、満期の近い短期米国債)

  • Money Market Funds investing in short term US treasuries(短期米国債に関連するマネー・マーケット・ファンド(MMF))

  • Treasury ETFs(米国債を運用するETF)

  • Reverse Repurchase Agreements (repo's) collateralized with US Treasuries(米国債を担保とするリバースレポ、レポ取引)

USDMはウォレットに保有しているだけでリベースが行われ、利回りは「USDM Reserves」で保有している米国債の運用益に基づいて決定され払い出されます。ちなみにcontractはOpenZeppelinのERC-20に則った上で、LidoのstETHの仕組みを一部採用しているとのこと。USDMのbalanceの計算式はこれ↓

balanceOf(account) = shares[account] * rewardMultiplier

// rewardMultiplier は毎日のaddRewardMultiplierの合計

毎日0時(UTC)に当日の利回りを計算してからaddRewardMultiplierを呼び出して、rewardMultiplierを変更している感じですね。

裏側の運用をもう少し深掘りしておくと、「USDM Reserves」にある資産をバミューダにあるMountain Protocol Limitedが管理して米ドル建ての米ドル同等資産で管理しています。また市場価格は他のFiat建てステーブルコインと同じく、発行体の信用がある限りは上乖離しても下乖離しても鞘を取る人たちで価格差が埋まる仕組みでpegさせています。

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ステーブルコインボロ儲け時代の終了か

ステーブルコイン事業者、利上げの影響で稼げすぎやろがい。界隈から色々言われてきましたが新興ステーブルコインはReal Yieldの再配分か、トークン発行してばらまかないとユーザーを獲得出来ないようになった現状。

ずっと疑惑をもたれつつも一人勝ちなUSDT、「大手なら参入してボロ儲けできるやんステーブルコイン」みたいな時代はそろそろ終わると思いますね。Apple Payの高利回りとかが注目されているのを見てもわかるように事業者の取り分は結構減ってるなあっていう。

こんなにRWAが注目されている理由の一つにDeFiのステーブルコイン運用の魅力だった米ドル建てでの高利回りがベアマーケットのによる取引量と資金量の減少、マクロな実経済の部分でいうと金融引き締めによる急激な金利増によって「DeFi<米国債」の不等式が成り立ってしまったことが挙げられます。もう一つはDAOの資金運用ですが今回の場合は前者の要因が色濃くトレンドに反映されているでしょう。

ステーブルコインが提供するべきものは昨日のニュースレターで書いたので、ちょっと長いですが時間があればこちらもぜひ↓

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ta1suke
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さいごに

他の米国債系protocolでも見たんですが、実際にUSDMを誰でも発行できるわけではなくPrimary userという限られた人のみ。暗号資産担保のCDP系ステーブルコインと大きく異なる点ですね。一方でUSDT、USDC、PUSDあたりのFiat建てステーブルコインと異なり、USDCで購入できる(しかも数秒で完了)のが特徴かもです。市場の流動性が十分になってきたら将来的には他のステーブルコイン支払いにも対応予定。今後は電信送金(銀行振込)での購入にも対応予定です。

また1993年の米国証券法第5条の適応条件を免除する「Reg S」に準拠しているため、USDMを始めとする一連のサービスを米国居住者は利用できません。なのでアクセスの制限を行い、米国居住者向けのマーケティングを一切行わないとのこと。

米国債トークンへの注目は「DeFi<米国債」から来てて一時的だ。みたいなニュアンスの話をしましたが、非米国居住者の米国債へのアクセス方法として十分に可能性を秘めていると感じているので色んな形式で検証が進んでほしいですね。これからもここらへんの領域を紹介していきますね。

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