みなさんこんばんは、今日もニュースレターの時間がやってきました。今日もめちゃくちゃ参考になるMirrorを以前から翻訳解説しているCaesar氏が投稿していたので今日もそちらをもとに記事を作成しました。いままでに投稿したCaesar氏の投稿をまだ見ていない方はぜひこちらから見に行っていただけますと↓
今日は業界でも特に海外を中心に「Liquid Staking Derivatives(LSD)」の「LST」を活用した「LSDFi(LSTFi)」についてのお話、LSDFiの主なプロジェクトはLST担保のCDPでその可能性と限界について話せたらなと思います!
Special thanks to @CaesarJulius0 and source
最近特にDeFiの複雑化を引き起こしている要因として、新たなDeFi primitivesの登場、そしてそれらを活用したprotocolの登場、ベアマーケット特有の研究期間に入ったことが挙げられると考えています。
その中でも今年の2023年は新たな「DeFi primitives」の可能性を探求するbuilderにとっては注目するべき要素が多かったことを証明しています。興味深いトレンドの流れとしてLSDの活用で「LSDFi」の登場がその内の一つです。
まずLSDとLSDFiについて簡単に定義して、プロジェクトを個別に分析していくことでLSTを裏付けとするステーブルコイン(CDP)の分析に入ります。そしてその概況と利点、限界を見てみます。最後にこれらのプロジェクトのチャンスなどについて議論することでLSTのCDPについての将来性を考察します。
またまた長くなるので前半と後半で分けてお話しますめ、なので今日は切りの良いところまで話したら明日の自分にパスします!
LSDとLSDFiとは?
Liquid Staking Derivatives(LSD)とはDeFi protocolでStakingされたトークンの所有権を表す仕組みのことです。LSDの登場によってユーザーはトークンをStakingしたときのLiquid Staking Token(LST)を様々な用途に活用可能になりました。
有名どころのLSDでいうとLido FinanceやRocket Poolあたりが挙げられます。LSDは親となるネットワークにセキュリティを提供しながら、ロックされた資金の開放をするための利点をユーザーにもたらしています。
次にLSDFiとはPendle FinanceやUnshethのようなLSD protocolの上に構築しているプロジェクトのことを指し、さらなる利回りを提供することでLSTホルダーが資産を運用し利回りを最大化する機会を提供しています。そしてそこの内の一つにLST-backedなステーブルコイン(CDPの一種)として、Raft、Gravita、Ethena、Prisma、Lybraなどがあって今回はここの話をするということ。
LST-backedなステーブルコイン
LST建てステーブルコインはCDPモデルでLSTを担保に発行され、発行額に対して過剰担保が必要な清算リスクのあるステーブルコインです。他のCDPとの違いは担保とする資産の利回りを享受しながら資本効率を上げられる点にあり、DAI、FRAX、LUSDなどの一般的なCDPと本質的に大きな違いはありません。
LST建てステーブルコインが提供する主な価値はETHのStaking報酬とともに利回りを得たり資本効率を上げられるところにあり、細かな機能はprotocolによりけりです。
このprotocol毎の細かな機能を順番に考察してみます。今日は前回の前半後半の分け方と同様に一つだけ先に見て後半に他のprotocolも見ていくとしましょう。
Prisma Finance($mkUSD)
Prisma FinanceとはLiquityをforkしたLST建てステーブルコインを発行するprotocolです。Liquity forkと言っても大幅な改善が加えられており、wstETH、cbETH、rETH、sfrxETH、WBETHなどの複数のLSTを担保にmkUSDのmintを可能に。
mkUSDはCurveとConvex Financeでインセンティブが付与され、ユーザーはそれぞれのLSTからなるETHのStaking報酬に加えて、poolからの取引手数料、CRV、CVX、PRISMAの報酬を受取れます。
それではPrismaのmkUSDの特徴を順番に分析していきましょう。
競争力のある価値提案
すべてのLSTに裏付けられたステーブルコインは、ユーザーにETHのStaking報酬をprotocol側で取ることはありません。そこでの競争力はどこにもなくてmkUSDを入金したユーザーにはCRV、CVX、PRISMAの報酬を付与できる点で競合のCDPに対して競争力が高まる可能性があります。
交換媒体として機能していない
ほとんどのユーザーはmkUSDの高い利回りを享受するためだけにmintしているので、mkUSDが交換媒体として機能する未来は現状見えない。
利回り資産としての機能
mkUSDはホルダーに収益をもたらすことができるため、単に価値の貯蔵として利用する需要があることは間違いないでしょう。もしユーザーがpegの安定性を信頼するのであればETHの利回りにエクスポージャーをもつ良い手段。
革新的なトークノミクス
vePRISMAホルダーは特定のpoolにインセンティブを与えることができるため、LSTを提供するユーザーは自身のmkUSDに報酬を与えるなどの一定の需要が発生することが見込める上に。vePRISMAの需要増はmkUSD自体の需要増に密接な関係にあるといえます。Docsを確認する限り、vePRISMAを使って特定の担保を使ったmkUSDのmint、借り入れ状態、任意のLPトークンへの報酬分配などPrismaエコシステムでのアクションに対し、報酬の方向を投票することができます。ステーブルコインの要素として、十分に流通し十分な流動性があることが長期的に重要なので競合CDPとの差別化ポイントとしてはCurveのようなトークノミクス勝ちがあるかも。
複数のLST担保
時価総額の異なるwstETH、cbETH、rETH、sfrxETH、WBETHなど複数のLSTを担保として利用できます。独特なトークノミクスによって、インセンティブの構造を変化させユーザーにmkUSDのmintを促しています。
資本効率性の欠如
過剰担保を要するCDPモデルに共通することだが、PrismaのmkUSDも担保率が120%以上じゃないと行けない点に加えて常に清算のリスクを持っているので、資本効率の面でFiat担保ステーブルコインに劣るものがある。
エコシステムの強度
Prisma FinanceはLSDFiの後期参入者であるにも関わらず、protocolを取り巻くエコシステムの強度は他に勝るものがあります。Prismaのトークノミクスを見て報酬のCRVとCVXをどう活用しているかで分かるように、このエコシステムの強度はPrismaが競合優位性を生み出すために役立っている。
いっぺんに進みすぎてもあれなので今日はここらへんにしておきます。明日以降は残りのLSDFiのRaft、Gravita、Ethena、Lybraを見ていきます。それではまた明日のニュースレターの後編でお会いしましょう!