[週間資金調達#3] Story Protocol、Socket Protocol、Onboardなど9社が資金調達

今週もいろんなプロジェクトが資金調達を完了

今週も週間資金調達の時間がやってきました。週間資金調達を書いていない期間中も資金調達関連のニュースは人より追ってるつもりでしたがやっぱりこれ書いたほうが断然インプットの質が変わりますね。そういえば先日、アウトプットがインプットにどう影響を与えるのか書いたのでよかったら参考までに。

[8.27] 冬のクリプト領域で情報発信を続ける理由

9月1日から7日までに資金調達を発表したプロジェクト、企業数は9社（前回までの期間の集計漏れや発表時期のズレも含みます）。執筆完了したときに数社の調達見つけたのですがなんせ当日19時なので次回の習慣資金調達で紹介します。

先週の週間資金調達はこちらから確認できます↓

[週間資金調達#2] DeForm、Stroom Network、BitOasisなど13社が資金調達

それでは順番に資金調達の概要を合わせて見ていきましょう。

GenTwo

GenTwoとはあらゆる資産を投資的に取引可能にする2018年創業のスイスに拠点を置くB2B fintechスタートアップです。「Alternative Assets、Traditional Assets、Digital Assets」の3つに資産を分類して各種サービスを提供しています。

その中でもCryptoに関わる部分でいうと3つ目の「Digital Assets」のところ、暗号資産、トークン、DeFi、マイニングなどを含めた独自の投資商品の作成が可能です。

提供しているサービスの肝であるGenTwo PROを使用すると、美術品や不動産から株式などの有価証券、暗号資産などのデジタルアセットを含む多くの資産を取引可能な証券の形で市場に投入することができます。

いままでに26カ国で250を超える顧客に、30億ドルを超える1,200以上の投資商品を提供しており、この調達した資金を活かしたさらなる市場拡大に期待しています。

• 調達額: 1500万ドル

• 投資ラウンド: Series A

• 投資家: Point72 Ventures

• 創業者: Patrick Loepfe

• 公式X: @GenTwoAG

• 公式サイト: https://www.gentwo.com/

D3 Global

D3 GlobalとはWeb2、Web3とともに相互運用が可能なドメイン技術の開発を行っているスタートアップです。Web2ドメイン部分は従来のフロー通りICANNに新たなTLDを申請し、Web3部分の開発を今後は行っていくとのこと。

世の中にある1,000を超えるTLDが売買可能なマーケットプレイスを既に提供しており、今後のアップデートに期待ですね。

Web3ドメイン系は最近多くなってきており、EVM系の複数チェーンを一つのIDで管理できるようにするものや、非EVMにも対応してるのもあったり。注目している領域なのでいつかこのニュースレターでも話題にできたらなと。

今回のラウンドではShima Capitalがリード投資家として、Maelstrom、Lightshift Capital、Dispersion Capital、VentureSouq、Infinite Capitalがフォローで、共同創業者でもあるPaul Stahura氏とエンジェル投資家として参加しました。

• 調達額: 500万ドル

• 投資ラウンド: Seed

• 投資家: Shima Capital、Maelstrom、Lightshift Capital、Dispersion Capital、VentureSouq、Infinite Capital、Paul Stahura氏

• 創業者: Fred Hsu、Paul Stahura

• 公式X: 不明

• 公式サイト: https://d3.inc/

Tako Protocol

Web2のSNSを起点としたソーシャルグラフからWeb3のオンチェーンデータを起点としたソーシャルグラフへ移行するために設計されたopen recommendation protocolです。価値のマッチングをP2Pで行うことで、中央集権的なレコメンデーションシステムよりも効率的かつパーソナライズされていて、エンゲージメントの高い広告配信が可能になります。

ユーザーがLens、Farcasterなどを利用した時に生成されるopenなソーシャルグラフを活用して広告主とのマッチングを促進させるシステム。従来だとCookieとか検索結果とかからパーソナライズされた広告を出していたと思うんですが、そこのオンチェーンデータバージョンってことですかね。

ちなみにこのラウンドは下記の投資家以外に複数のエンジェルも参加しているよう。

• 調達額: 200万ドル

• 投資ラウンド: Pre-Seed

• 投資家: UOB Venture Management、DWF Labs、Mask Network、Signum Capital、AC Capital、Smrti Lab、RSS3、HashBrown Research

• 創業者: 不明

• 公式X: @TakoProtocol

• 公式サイト: https://tako.so/

Story Protocol

Story Protocolは知的財産（アイデアやデザインなどの財産的価値のあるもの、IPや知財とよく言われている）の所有権を管理できるオープンソースのプラットフォームを開発しているスタートアップです。先述したプラットフォームは今回の資金調達のリリースと同時にローンチしました。

前回のラウンドから引き続き、a16z cryptoがリード投資家、そしてHASHED、Samsung Next、今回のラウンドからの新規投資家としてEndeavor、dao5、Insignia Ventures Partners、Alliance、Foresight Ventures、Mirana Ventures、Two Small Fish Ventures、エンジェル投資家としてParisHilton氏が参加しました。

リード投資家のa16zのGPからのコメントでは「エンタメ業界の潜在的な問題解決をWeb3の技術活用で貢献できることに期待している」と述べており、全体的にここらへんの知財にブロックチェーンを活用する流れは社会実装まで近そう。DeSciの考え方の中にも確か知財の管理にブロックチェーンを使っていたはず。

• 調達額: 5400万ドル

• 投資ラウンド: 非公開

• 投資家: a16z crypto、HASHED、Samsung Next、Endeavor、dao5、Insignia Ventures Partners、Alliance、Foresight Ventures、Mirana Ventures、Two Small Fish Ventures、ParisHilton氏

• 創業者: Seung Yoon Lee、Jason Levy、Jason Zhao

• 公式X: @StoryProtocol

• 公式サイト: https://www.storyprotocol.xyz/

Socket Protocol

Socket Protocolとはチェーン間を跨いだアセットなどの情報をやり取りするためのインターオペラビリティを生み出すprotocolです。既に35億ドルのアセット移動実績があり、Metamask、Zerion、Rainbowを始めとする有名なウォレットやDeFiにも対応しており急速にエコシステムを拡大しています。

またSocketは自身のSocket Liquidity Meta-Layerを活用した「Bungee」というbeidgeのプロダクトを提供しています。また開発者向けにはSocket SDK、Socket API、Socket Pluginの3つのプロダクトを提供しており、自身のプロダクトへすぐに組み込めるようになっています。

過去の資金調達は2022年7月にLinghash、K5、OpenSeaなどから200万ドルを。その前には5月にFramework、Coinbase Ventures、Lightspeed、Nascent、Maven11、複数のエンジェル投資家から500万ドルを調達していました。なので今回の資金調達をあわせると合計で1200万ドルの調達を行っていることになりますね。

あと気になったのはエンジェル投資家の詳細でPolygonのCo-Founderの2人であるSandeep Nailwa氏、Jaynti Kanani氏、OptimismのCo-FounderのJinglan Wan氏、FlashbotsのRobert Miller氏、他にはBanklessおｎDavid Hoffman氏、Ryan Sean Adams氏といった名だたるメンバーが参加している点ですかね。

Coinbase Ventures案件は個人的に結構スキなので、たまに公式サイトのポートフォリオを見に行ったりしています。みなさんも暇だったらぜひ見てみてください。

• 調達額: 500万ドル

• 投資ラウンド: Strategic

• 投資家: Coinbase Ventures、Framework

• 創業者: Vaibhav Chellani、Rishabh Khurana

• 公式X: @SocketDotTech

• 公式サイト: https://socket.tech/

TRLab

TRLabとはWeb3領域でデジタルアートの普及を目指す、ニューヨークと香港に拠点を置くスタートアップです。デジタルアートとWeb3プラットフォームという括りではポジションを獲得しつつあり、我々のアプローチが成功は「世の中にある美術品とアーティストへの理解を深めるアート体験に十分な需要があることをしめしたことになる」とCEOのAudrey Ou氏は話しています。

いままでにVogueやCalder Foundationなどとパートナーシップを組んでイベントを共催しており、今回の調達資金を活用して新たなアーティストや関連機関の誘致、プロジェクトの認知拡大に努めるようです。

Hivemind、OKX Venturesがリード投資家で、Hashkey Capitalがフォローで参加しました。前回は2022年1月にAnimocaなどから420万ドルを調達しています。

• 調達額: 500万ドル

• 投資ラウンド: Seed

• 投資家: Hivemind、OKX Ventures、Hashkey Capital

• 創業者: Audrey Ou

• 公式X: @trlab_

• 公式サイト: https://trlab.com/

GAM3S

GAM3Sとはブロックチェーンゲーム（BCG）に特化したローンチパッドです。いままでに100以上のPJが立ち上がり、合計4900万ドルの資金調達をサポートしました。このプラットフォームはPolkastarterが親会社として運営しているので、元々はPolkastarter Gamingという名前でしたがリブランディングして名前が変わりました。

調達のプレスリリースにも「Community > Product > Funding」と書いており、資金調達よりも大事なプロダクト、そしてそのプロダクトを成長させるのはコミュニティであることを理解し、質の高いコミュニティの形成のためにプロダクトの迅速なバグ修正、7ヶ月の実証期間を要して資金調達に至ったという流れですね。

実際にプラットフォームを見る限り、他の雑多なローンチパッド系プラットフォームよりかはかなり洗練された作り込みで運営の気合を感じます。GAM3Sの目標でもあるBCGをより身近なものにするという意味ではかなり目標に近いUIなのでは。

• 調達額: 200万ドル

• 投資ラウンド: Seed

• 投資家: Mechanism Capital、Polygon Ventures、Double Peak Group、ArkStream Capital、LD Capital、ROK Capital、Hyperithm、SnackClub、Emurgo Ventures、Eden Network、MixMarvel DAO Venture、4SV、TKX CAPITAL、SkyVision Capital、Compute Ventures

• 創業者: Omar Ghanem

• 公式X: @GAM3Sgg_

• 公式サイト: https://gam3s.gg/

Onboard

OnboardはNestcoinの提供するOn-rampとOff-rampが可能なセルフカストディウォレットです。将来的にバーチャルカードが発行可能になる予定で、ウォレットにあるCryptoを利用して日常での決済ができるようになります。

このラウンドではHashedが主導し、CMT Digital、Alter Global、4DX Ventures、Adaverse、Base Ecosystem Fundが参加しました。BaseがBinanceのBSCと同様にエコシステム成長のための出資を強めている傾向にあるのでここらへんもまとめます。

最近こういう系めちゃくちゃ増えてきていますよね、普通にCryptoで買い物できるの便利ですしなんかカード発行してみたいなぁ。知ってるので有名所だと、Crypto.comのとかSaitamaとかかな、bybitも日本OK？XGoは前から登録してますがまだカードは来てないみたいですね。関連するニュースレターはこちらから↓

[Ohayo#6] Metamaskがoff-ramp対応へ

• 調達額: 190万ドル

• 投資ラウンド: Strategic

• 投資家: Hashed Emergent、CMT Digital、Alter Global、4DX Ventures、Adaverse、Base Ecosystem Fund

• 創業者: Yele Bademosi、Taiwo Orilogbon

• 公式X: @OnboardWallet

• 公式サイト: https://www.onboard.xyz/

Brine Fi

Brine Fiとはトレーダーが作ったトレーダーのためのorder book方式の完全ガスレスDEXです。最近こういう系めちゃくちゃ増えてますよね。中堅CEXが乱立して調達しまくっていた時を思いだしました。

特にすごい画期的な特徴があるわけではないので紹介はこのぐらいにしておいて、でも興味はあるので進展があったら追加でニュースレターで紹介しようと思います。そういえば昨日類似プロジェクトの解説を書いたのでこちらもぜひ↓

[9.07] 虚無先物合戦の開幕か

• 調達額: 1650万ドル

• 投資ラウンド: 非公開

• 投資家: Pantera Capital、Elevation Capital、StarkWare、Spartan Group、Goodwater Capital、Upsparks、Protofund

• 創業者: Shaaran Lakshminarayanan

• 公式X: @BrineFinance

• 公式サイト: https://www.brine.fi/

さいごに

今週は結構仕組みがわかりやすいプロダクトの資金調達が多かったですね、来週は今日調達したプロジェクトも含むので多くなるかと思います。

そういえばちょうど先週の週間資金調達の9月1日からですね、朝晩毎日2本投稿を始めたので是非是非みなさんのメールアドレス登録をお待ちしてます！ちなみに今月で500人突破を目標にしててあと110人ちょいです！！